本日は脳神経外科専門医である築山 節(つきやま たかし)さんの
【脳から変えるダメな自分】という本のご紹介です。
- 集中力がない
- 抑制の力が落ちている(やめたいと思ってることがやめられない)
- 空気が読めない
- 思い出せない言葉が増えている
- 時間を無駄遣いしてしまう
- ネガティブ思考に陥りやすい
- 変化への対応力がない
このような現象はどんなに強いメンタルの持ち主でも、一度は悩んだことがある問題ではないでしょうか。
根性論で自己変革を試みるものの、長続きしない。すぐ元に戻ってしまい、自分は結局ダメなんだと諦める…ということを繰り返している人も多いのではないかと思います。
私もその一人です。(笑)
このような問題に対し筆者は脳にアプローチする発想を持つことが大事だと筆者は言います。
目次
《やる気とは行動することによって蓄積されるエネルギーである》
脳の性質上、止まったまま考え込んでいてもやる気が増幅されることはないのだと筆者は言います。
しかし、いくらやる気を出す為とはいえ、重大なことに対しても無闇に行動していくというのも問題があります。
そこで重要になってくるのが、誰にも迷惑をかけないようなことで、自分の為にはなる、簡単な雑用をする場面を日頃から多く持つことです。
日常的なことで言えば、家事が効果的です。
部屋の片づけや、食器の洗い物をするだけでも十分に効果が期待できます。
これは意欲の中枢である側坐核(そくざかく)といわれる神経細胞の一つを刺激することによって起こるもので一般的には
作業興奮といわれることもあります。
止まったまま難しいことばかり考えているときより明らかに脳が元気なることを実感できるはずです。
《思考系と感情系》
脳の中に大きく分けて大脳新皮質(だいのうしんひしつ)と大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)という部分があります。
その中に前頭葉や側坐核といった細かい神経細胞が無数に存在します。
大脳新皮質は思考系の役割を担っており、主に重要な意思決定や合理的な判断が必要な際に使われる部分です。いわば人間の理性を司る部分です。
大脳辺縁系は喜怒哀楽の感情など人間としての欲求に対して使われる部分です。
思考系と違い、問題解決などをすることができず、逃げ出したくなるときほど強く反応しています。
大脳辺縁系の外側に大脳新皮質が覆い被さるような構造になっており、感情系の影響は絶えず思考系に影響を及ぼしています。
やる気が出ない時に楽な方向に進んでしまうのは思考系に対して感情系が優位になっている状態ということです。
《感情系の協力を得やすくする》
感情系の機能は「分析する」ということができません。
そのため、これからやらなければいけない仕事や勉強の全体像ばかりみてしまいその大きさに圧倒され「逃げたい」という感情を発生させてしまいます。
それを防ぐためには、思考系が常に仕事や勉強の全体像を分析し、細かく砕いて、「これならできそうだ」と思えるような小さな課題を設定していくことが重要です。
感情系がどう反応するかは思考系がどう分析しているかにかかっていると言えます。
脳は基本的になまけやすく楽な方向に向かうようにできています。
そのため、身体も動くし思考も働く。
反対に自分ができそうもないと思っていることに対する意欲は起こしようがありません。よって、常に簡単にできるような課題を1つは目の前に置くように心がけることが重要です。
《抑制の力が低下している》
「やらなければいけないことがあるのに、実行できない」
「やめた方が良いとわかっているのに、やめられない」
これらは多くの人に当てはまることだと思います。というか、経験がない人はほとんどいないのではないでしょうか。
つまりは快を求め、不快を避けようとする感情系の欲求を制することができなくなりつつあるということです。簡単にいうと意志が弱くなっていると言えます。
この抑制の力が低下してしまうと「我慢強さがなくなる」以外に次のような影響も出てきます。
- 集中力が続かなくなる
- 思い出す力が低下する
- 理解力が低下する
- 思考力が低下する
これらはすべて思考系よりも感情系が優位になりやすい状態になっている為、咄嗟に理性的な判断ができなくなっていることが原因です。
《感情系に対して思考系が優位である状態を確立する》
抑制の力が低下し短期的な快楽に走っている時、
人間は心の底では良くないと思っていることを「明日から頑張ればいい」というように感情系が優位な状態で判断をしがちだと思います。
しかし、脳も筋力と同じで誘惑に負ける回数が多いほど日頃の抑制の力は衰えていき、あらゆる場面で楽な方に引っ張られやすくなっていきます。
そして、そのような状態が慢性化すると努力する意欲もなければ集中力も続かないので結果的に何も成し遂げることができなくなってしまいます。
仕事や勉強では「不快でもやらなければいけない」という状況が多々あると思います。そこで感情系の欲求に負けずに思考系の判断を軸に行動していくことが重要です。
《抑制の力を高めれば前向きに生きれる》
抑制の力を意識して高めていくと、自分の欲求に対しても理性的に考えることができるようになり、困難な問題に直面しても思考停止せずに解決を図ろうと前向きな思考に切り替わります。ダラダラと過ごしている時間が耐えられなくなり、自分のすべき課題に積極的にチャレンジする習慣が身に付きます。
この抑制の力を鍛えるのに近道はありません。日々の生活と思考習慣を少しずつでも変えていくことが重要です。
《少しめんどくさいことを積極的にやる》
抑制の力を高める上で最も効果的であると思われるものが、少しめんどくさいことを後回しにせずにやることです。
この少しめんどくさいというのは、取り掛かってしまえばすぐに終わるようなことを指します。
めんどくさい、というのは端的にいうと楽をしたいのです。
その楽を積み重ねることが感情系を優位にしやすくなるのは言うまでもありません。
《終わりに》
人は課題に直面した時に、前向きに思考が働く人と感情が優先されすぐには思考が働かない人に分かれると思います。
前者も感情は動きますが、出来事を課題として捉える脳の働きが強いため、思考が止まることがないのだと思います。
感情が優位になってしまう人というのは、ひとつのことから受け取る情報が多く、いろんな事が気になってしまい脳のリソースを多く消費しています。結果的に本来の力を発揮することができず、大事な場面で頭が働かず、生きづらさを感じてしまうものだと思います。更にできない自分を感じとる力も強い為に、自分を責めてもっと頑張る→繰り返す、の悪循環に陥るのだと思います。
要は捉え方の問題でそれを決めているのは、脳です。アプローチすべきは間違いなく脳から変えることが重要であると思います。
脳の仕組みを正しく理解し、生活習慣から見直していくことが何より大事なのではないでしょうか。
【脳から変えるダメな自分】築山 節(つきやまたかし)著
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